- 例文暗記をやるか迷っている人
- 例文暗記のメリットがよくわからない、という人
英語の勉強法として一定の支持を得ている、例文暗記。
しかし、具体的な効果のわかりづらさや、かかる時間の多さから、やるのに腰が引ける・なかなか続けられないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな例文暗記について
- 4技能それぞれにどんな効果があるのか
- 例文暗記をするにあたっての注意点
を書いていきます。
結論から言ってしまいますが、例文暗記は4技能全てにつながる、とても効果的な勉強法です。
この記事を読み、そのメリットを理解していただければ幸いです。
それではいきましょう。
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例文暗記によって、どう英語力が伸びる?
例文暗記は、4技能それぞれのスキルを伸ばすことができる勉強法です。
ここからは、具体的にどう英語力が伸びるのか?ということについて、
- リーディング・リスニング
- ライティング
- スピーキング
の3つに分けて説明していきます。
リーディング・リスニングと例文暗記
リーディング・リスニングについては、ある同じ原理でスキルアップが期待できるため、1つにまとめて説明します。
その原理とは、例文暗記によってコロケーションの理解が深まり、文脈の予測がしやすくなるということです。
コロケーションという単語を初めて聞く方もいると思いますので、まずはここからなるべく丁寧に
- コロケーションとは
- コロケーション習得によるメリット
- 例文暗記とコロケーションの関係
の3つを説明していきます。
コロケーションってなに?
コロケーションとは、日本語では”連語”と訳されます。
“collocation” = “co(同じ)”+”location(場所)”、すなわち、セットで使われることが多い単語の組み合わせのことを指します。
具体例を3つほど紹介しますね。
これから虫食いの日本語の文章を示しますので、かっこの中に入る動詞をパッと当てはめてみてください。
- あの人に電話を( )
- コンビニで、議事録のコピーを( )
- 今日はこの靴を( )
いかがでしょうか?厳密な正解はありませんが、
1番:電話を(かける)
2番:コピーを(とる)
3番:靴を(履く)
以上のような動詞を当てはめた方が多いのではないでしょうか。
しかし、同じような意味の動詞でも
1番:電話を(発信する)
2番:コピーを(刷る)
3番:靴を(装着する)
こういった動詞を使った場合、少し不自然な感じがしませんか?
このように、同じような意味の単語の組み合わせでも、表現に自然さ・不自然さが表れます。このうち、自然だなと感じる単語と単語の組み合わせのことをコロケーションと呼びます。
コロケーションは英語にも数多く存在しています。たとえば、
- take your time (≠have your time)
- heavy rain (≠strong rain)
などです。
コロケーションの習得によるメリット
ここまでで、コロケーションがどんなものか、ということを説明してきました。
それでは、コロケーションを覚えることによってどんなメリットが生まれるのでしょうか?
それは、英語ならではの感覚が養われ、リーディング・リスニングの中での文脈予測がしやすくなるということです。
既に説明したとおり、コロケーションとは自然な単語と単語の組み合わせのことです。
このコロケーションを習得することで、ひとつの単語を見たり聞いたりしたときに、ある程度次にくる言葉の予想がつくようになります。
このように当たりをつけながら文章を読むことで、リーディングだと読解速度が上がり、リスニングだと音声にキャッチアップできるようになるというメリットがあります。
例文暗記とコロケーションとの関係
それでは、例文暗記とコロケーションにはどのような関係があるのでしょうか?
例文暗記は、単語ひとつひとつではなく、文章丸ごとを覚えていく勉強法です。
当然その例文には、数多くのコロケーションが含まれているため、例文暗記を通じて、コロケーションを身につけることができるのです。
こういった単語と単語のつながりの感覚の学習は、1対1で単語を学んでいく通常の単語帳ではなかなか難しいため、例文暗記に特徴的なメリットといえます。
- 例文暗記は、コロケーションの習得ができる勉強方法である。
- コロケーションとは、自然に感じる単語と単語の組み合わせのこと。
- コロケーションを身につけることで、リーディング・リスニング両方のスキルアップができる!
ライティングと例文暗記
英作文は、英借文
英作文とは、英借文である。こんな言葉があります。
その内容としては、
「自分が持っている文章の型を持ってきて、あてはめることでどんな文章でも書けるようになる。だから、土台となる文章をたくさん覚えなさい。」
こんな意味ですね。
確かにその通りであり、例文暗記がライティング能力をアップさせるからくりは、まさにこの英作文=英借文理論です。
また、先ほど例文暗記によってコロケーションの習得ができるという話をしましたが、より自然な表現ができるようになるという点で、ライティングにも好影響があります。
しかし、その一方で、スピーディーかつ対応力の高いライティングのためには、どれだけの数の文章を覚えなければいけないんだ、、と気が遠くなるのもまた確かです。
この点については、また近日記事にしようと思っておりますのでしばしお待ちください。
- 英作文は英借文。
- 例文暗記で覚えた文章をもとに書くことができるので、ライティング能力が上がる。
- コロケーションの習得により、自然な表現もできるようになる。
スピーキングと例文暗記
スピーキングと例文暗記の関係は、基本的にはライティングと例文暗記の関係と同様です。
型を変化させて表現することができるようになり、さらに自然な表現もできるようになります。
しかし一方で、スピーキングでは通常ノータイムでの発話が求められ、ライティングのように書いて整理しながら話すことも当然できません。
そのため、スピーキングのスキルアップをするためには、英会話の中で使ってみたり、日常生活の中で例文を変化させて使ってみるなど、例文暗記にプラスしてアウトプットの練習を行う必要があります。
- 基本的にはライティングと同様のメリットがある。
- しかし、ノータイムで発話をする必要があるため、プラスアルファのアウトプット練習が必要になる。
例文暗記を行う際の注意点
ここまで、例文暗記が4技能に及ぼすメリットについて説明してきました。
例文暗記が4技能すべてにつながる、とても効果的な勉強法であることが伝えられていれば嬉しいです。
ここからは、そんな例文暗記を行うにあたって、どんな注意点があるのか?について、
- かなり時間がかかり、挫折しやすい
- 使う教材によって、効果が大きく変わる
- 思考停止になりやすい
この3つを紹介します。
かなり時間がかかり、挫折しやすい
例文暗記を本で行うとなると、1冊につきおよそ100〜500の例文を覚えていく必要があります。
これは、1つの文章につき10単語だとしても、合計1000~5000単語からなる例文を覚えてなければならないということです。
これだけでもかなりのボリュームですが、CDを聴くことが必要であるため、よりタフな勉強法です。
そのため、時間がかかってしまい、さらにすぐには効果も実感しづらい勉強法であることもあり、挫折してしまいがちです。
例文暗記を行う際には、全体を分割して進めるなど、工夫して取り組んでいきましょう。
こちらの記事で、継続しやすい勉強法について詳しく紹介しています。
英単語と銘打っていますが、例文暗記にも十分使える内容となっていますので、覗いてみてくださいね。

使う教材によって、効果が大きく変わる
例文暗記の大きな魅力のひとつが、コロケーションの習得によって自然な表現を身につけられることであり、これを通じて、4技能のスキルアップが見込めるということはすでに説明しました。
しかし、世の中にある例文暗記の教材には、残念ながら自然な表現でない例文を多数掲載したものもあるのが事実です。
こういった例文暗記の教材を使っても、費やした時間に対する効果が小さくなってしまうため、注意が必要です。
ちなみに私が一番におすすめする教材は、Duo3.0です。
単語帳のイメージが強いかもしれませんが、Duoはネイティブ15人が厳正に実用性をチェックした例文560語に、見出し語が一切のダブりなく掲載されています。
そのため、少ない例文数で大きな効果を見込むことができる効率のよい例文暗記の教材でもあるんです。
少し難易度は高めですが、ぜひ使ってみることをおすすめします。
Duoについては以下の記事もあわせてぜひご覧ください。

思考停止になりやすい
ひたすらに例文を覚えていくことが必要とされる例文暗記は、どうしても思考停止で進めてしまいがちです。
しかし、例文暗記がどういうからくりで英語のスキルアップに役立つのか、ということを意識しながら取り組まないと効果は激減してしまいます。
やるだけになってしまいがちな勉強法だからこそ、目的意識を強く持って行うようにしましょう。
例文暗記をする時に注意するべき点は3つ!
- かなり時間がかかり、挫折しやすい
- 使う教材によって、効果が大きく変わる
- 思考停止になりやすい
まとめ
この記事では、
- 例文暗記は4技能それぞれにどんな効果があるのか
- 例文暗記をするにあたっての注意点
のふたつについてまとめてきました。
例文暗記は、正しい教材を選び、挫折することなくやり続けることができれば、4技能全てのスキルアップをすることができる勉強法です。
「やるか迷っている・・・」という方も、この記事の内容を読みこんだうえで、ぜひ取り組んでみてくださいね。