受験で使う社会科目をどれにするか?
これ、多くの高校生が直面する問題ですよね。
小学校・中学校である程度土台ができている日本史?高校からだけど興味のある世界史?
どっちの科目を選ぶか、なかなか決めきれないという方が多いと思います。
そこで、この記事では現役東大生であり、世界史と日本史をどちらも勉強していた私が、
- 入試の世界史で求められるスキル
- 世界史を選ぶメリット
- 世界史を選ぶデメリット
の3つをそれぞれ順番に説明していきます。
メリット・デメリットについては、入試だけに限らず、大学での学問や就職などを経験した自分の視点も盛り込んでいるので、皆さんにとって新しい発見があればとても嬉しいです。
- 日々学習に励む現役東大生。
- 受験生時代の世界史はセンター試験満点、2次試験は40点/60点。
- 学びについての情報を、とにかく学習者目線をモットーに発信しています!
入試の世界史で求められるスキル
それでは、メリット・デメリットを確認する前に、実際の試験でどのようなスキルが求められるのかを確認していきましょう。
入試という受験勉強のラスボスが、どういったスキルを要求しているのかを知ることで、自分が世界史に向いているのかがより明確にわかるようになりますよ。
ここでは、求められるスキルとして、
- 事実を正確に把握する力
- 論理的に考える力
- 資料を正しく分析する力
- 自分の言葉で表現する力
の4つを、なるべく丁寧にわかりやすく説明していきます。
求められるスキル① 事実を正確に把握する力
入試の世界史で求められるスキルの1つが、事実を正確に把握する力です。
世界史には非常に多くの出来事が登場します。入試では、それらを正確に覚え、適切なタイミングで応用することが必要とされます。
「それって、日本史も同じじゃん」
そう思われた方もいるかもしれません。
確かに、一つ一つを正しく把握し、応用する力はどちらの科目でも同じように必要です。
しかし、日本史と世界史では、出てくる単語の性質が大きく異なります。
日本史は、その名のとおり日本という範囲内での歴史を扱います。そのため、出てくるテーマの幅は狭いものの、より専門的な単語まで覚える必要があります。
一方で世界史は、出てくるテーマの数が膨大です。世界中の国や地域が対象ですもんね。
そのため、ひとつひとつのテーマについては、日本史ほど細かい知識は求められません。

以上のように、世界史を学ぶうえでは、幅広いテーマの出来事について簡潔かつ正確にまとめることができるようになる必要があります。
求められるスキル② 論理的に考える力
入試の世界史で求められるスキルの2つ目は、論理的に考える力です。
論理的、、よく耳にするもののいまいち理解が難しい言葉ですよね。
ここでは、それぞれの出来事の原因・結果を正しく理解し、結びつけていく能力だと思ってもらえれば大丈夫です。
すでに書いたように、世界史には様々な国や地域についての多くの出来事が登場します。
そしてこれらの出来事は、地域を飛び越えて、時には時代を飛び越えて、互いに関連しています。
例えばですが、紀元前の古代ギリシャの文化が、14〜16世紀のルネサンスという文化活動のきっかけとなったりしているんです。
約2000年も違う時代の出来事が、結びついているんですね。面白いけど、とても複雑であることがわかると思います。
このような結びつきを正しく理解する力が、入試の世界史においては求められています。
求められるスキル③ 資料を正しく分析する力
入試の世界史で求められるスキルの3つ目は、資料を正しく分析する力です。
これは、特に最近になって重視されているスキルのように感じます。
センター試験から共通テストに変更され、資料問題の数がかなり増加したことがこれを象徴的に表しています。
この変化は、世界史の単なる暗記科目化を防ぐためだと考えられます。
ただ自分の知識を当てはめて答えていくのではなく、与えられた資料を正しく分析・理解し、自分の知識と組み合わせたうえで解答することで、それぞれの出来事の背景や結果の部分までを理解できているか確認しているのです。
求められるスキル④ 自分の言葉で表現する力
入試の世界史で求められるスキルの4つ目は、自分の言葉で表現する力です。
これは特に論述問題が出題される大学の場合に必要となるスキルですね。
論述問題で高得点を取るためには、まず自分が学んだことを整理し、その内容を簡潔かつ明確に伝えることが大切です。
また、自分なりの意見や判断を持ち、それを根拠と共に説得力のある文章で表現することも求められます。
おさらい
入試では、
- 事実を正確に把握する力
- 論理的に考える力
- 資料を正しく分析する力
- 自分の言葉で表現する力
の4つの力が必要とされる!
世界史は、ただの暗記科目ではなく、出来事を正しく結びつけながら理解したうえで、その知識をそれぞれの問題に対して応用して用いる力が求められる複雑な科目。
世界史を選ぶメリット
ここからは、世界史を選ぶメリット・デメリットについて紹介します。
まずは、メリットとして
- 1つのテーマについて深く学ぶ必要はない
- 発展的な問題が出づらく、得点源にしやすい
- 漢字を覚えるために割く時間が少ない
- 総合的な教養が身につく
- 国際的な視野が広がる
この5つを紹介します。
メリット① 1つのテーマについて深く学ぶ必要はない
すでに書いたように、世界史はさまざまな国や地域のテーマについて扱う必要があるため、1つ1つのテーマの中で求められる知識の量はそこまで多くありません。
ここが日本史と多く異なる点です。
それぞれのテーマを必ずしも深く学ぶ必要はないため、日本史と比べてストーリーの理解はそこまで難しくはありません。単語量が多く、覚えるのは大変ですが。。
また、おすすめはしませんが、本当に苦手なテーマがある場合、そのテーマを勉強しないという選択もしやすいのが世界史です。
日本史だと、テーマ数が少ないため、ひとつのテーマを捨てると点数に大きく響いてしまいますからね。
メリット② 発展的な問題が出づらく、得点源にしやすい
「どういうこと?」と思われた方もいるかもしれませんが、
これは日本史と比べて単語量が多いことと関係しています。
入試問題の目的は、難しく作ることではなく、受験者をうまくふるいにかけることです。
要は点数に差がつけばいいんですね。(もちろん、大学側の意図した形で差がつくことが前提ですが)
単語量が膨大である世界史については、そもそもそれぞれの単語を正確に理解し、結びつけられているかを確認するだけで、かなり受験者の得点にばらつきが出やすいです。
そのため、発展的な問題を出して点数に差をつける意味があまりないんですね。
むしろ、難しすぎる問題を出してしまったら、ほぼ全ての受験生が点数が取れなくなってしまい逆に差がつかなくなってしまうリスクがあります。
このように、世界史はただでさえ高校から学び始める科目であり土台ができていないのに、覚える量も多いため、日本史と比べて発展的な問題が出づらい傾向にあります。
そのため、知識が完成してくると常に高得点を狙える科目、つまり合格へ向けた得点源になる科目にしやすいです。
これはいわゆる難関大学でも同様であり、例えば私の受験した東京大学でも、世界史では一問一答問題が出題されるものの、日本史では全てが論述問題になっていました。
メリット③ 漢字を覚えるために割く時間が少ない
これは直感的にわかりやすいんじゃないでしょうか。
ただ、先に注意書きしておくと、世界史でも漢字は意外と使います。
特に中国周辺の歴史では、「これ、人生でここでしか使わないでしょ、、」みたいな漢字がけっこう出るので、全く漢字の暗記から解放されるワケではないことは覚えておいてくださいね。
とはいえ、やはり全体で見れば、日本史に比べて漢字を覚えるための時間は少なめといえるでしょう。
日本史の場合、入試で点数を取る場合には
単語を覚える → 単語を書けるようになる → スコアアップ
という3ステップが必要なことが多いです。
一方で世界史については、カタカナ表記が多いため
単語を覚える → スコアアップ
という2ステップで済むことが多いです。
テストや試験に向けて、限られた時間を有効に使えるという点で、漢字が少なく覚えやすいという点は大きなアドバンテージになるでしょう。
メリット④ 総合的な教養が身につく
ここまでは、入試という点で考えたときにどんなメリットがあるか?ということをお話ししてきました。
ここから2つのメリットは、入試には直接的には影響しないものの、大学に入ったその後の人生でのメリットになります。
まずひとつ目ですが、総合的な教養が身につくということです。
- なんで北朝鮮と韓国は仲が悪いの?
- なんでヨーロッパには先進国が多くて、アフリカやラテンアメリカには少ないの?
こういった疑問について、ずばり的確に答えることができますか?
世界史を学び、歴史的な背景を理解することで、こういった現代の問題や現象を見る目が養われ、自らの知識や視野を広げることができます。
世界史を学ぶということは、世界を理解する基礎となる知識を身につける、ということです。
そしてそれだけの知識を体系的に学ぶチャンスは、大学受験を除くとかなり限定されてしまいます。
私自身、「大学受験で世界史を学んでいなかったら、、」と思うとゾッとすることがあります。
また、世界史はさまざまな分野と関係しています。
例えば、世界史を学んだ知識は、文学や美術、建築などの芸術分野や、社会科学や経済学、政治学などの分野と深く繋がっています。
大学で学問を学ぶ際にも、世界史を学んでいて良かったと感じることが多くありました。
メリット⑤ 国際的な視野が広がる
メリット④ 総合的な教養が身につくと関連していますが、最後のメリットは、国際的な視野が広がるということです。
世界史を学び、世界を理解する基礎知識を身につけることで、他国や他文化に対する理解が深まり、国際的な視野を広げることができます。
また、異なる文化や価値観を理解することで、多様性や共存の大切さに気づくことができます。
これは、グローバル社会に生きる私たち現代人にとって必要な能力であり、就職やビジネスにも必要不可欠なスキルの一つです。
私も就職活動をする中で感じましたが、いまの企業は多様性尊重を本当に大切にしています。
世界史を学ぶことで、こういった働く中で必要な能力もおのずと身につけることができます。
おさらい
世界史を受験科目に選択すると、
- 1つのテーマについて深く学ぶ必要はない
- 発展的な問題が出づらく、得点源にしやすい
- 漢字を覚えるために割く時間が少ない
- 総合的な教養が身につく
- 国際的な視野が広がる
という5つのメリットがある。
そのメリットは、入試でのものだけでなく、その後の人生を豊かにするものでもある!
世界史を選ぶデメリット
ここまで、世界史を選択するメリットについて紹介してきました。
しかし、世界史を勉強するにあたって注意しなければいけない点、デメリットも残念ながら存在します。
ここでは、世界史を選ぶデメリットとして、
- 覚える量が膨大であり、計画性が要求される
- はじめは点が伸びにくい
この2つを紹介します。
デメリット① 覚える量が膨大であり、計画性が要求される
世界史は、さまざまな地域における歴史上の出来事や人物、文化や思想などの広い分野を扱います。
そのため、覚えなければいけない知識量が非常に多く、試験までに全てを覚えるのはかなり大変です。
メリット② 難しい問題が出題されづらいでも書いたように、単語を正しく覚えられているかを確認するだけで、かなりの受験生がふるいにかけられてしまうほどです。
計画的に取り組み、少しずつ知識を積み重ねていくことで、このデメリットは克服できますが、日本史よりも単語の完成までの道のりが長いため、その分だけ辛抱強く勉強していく必要があります。
デメリット② はじめは点が伸びにくい
世界史は自分の実力がどれだけ上がっているのかがはじめはなかなかわかりづらく、挫折のリスクが高い、ということが2つ目のデメリットです。
日本史とは違い、世界史は高校から習い始める科目です。
そのため、勉強の際には土台となる全体の流れの理解から始めなければいけません。
ただでさえ日本史より単語量が多いのに、スタートラインが日本史より後ろに引かれているんですよね。
そのため、せっかく頑張って勉強しても、まだ流れを理解しただけで単語の暗記までできていないうちは、なかなか点数が伸びづらく、やる気を削がれてしまいがちです。
まとめ:結局どんな人におすすめ?
ここまで、世界史のデメリットについては、
- 覚える量が膨大であり、計画性が要求される
- はじめは点が伸びにくい
という2つがあるものの、メリットとして
- 1つのテーマについて深く学ぶ必要はない
- 発展的な問題が出づらく、得点源にしやすい
- 漢字を覚えるために割く時間が少ない
- 総合的な教養が身につく
- 国際的な視野が広がる
という5つがあることを説明してきました。
それでは、結局どんな人に世界史がおすすめなのでしょうか?
入試のスコアという面だけでいうと、
- 社会科目で点数を稼ぎ、得点源としたい
- 計画的に、かつ根気強く学習できる
こんな人に世界史は特におすすめです。
しかし、すでに説明したように、入試のその後においても、世界史を学ぶ意味はとても大きいです。
日本史か世界史か迷っている、、という方については、世界史を選択することを強くお勧めします。
このブログでは、他にも世界史についての記事を書いていますのでぜひ参考にしてみてくださいね。
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