- 東大の社会科目選択で悩んでいる人
- 東大を目指しているけど、何を使って対策していけば良いのかわからない人
- 東大で合格レベルに達するまでのスケジュール感を知りたい人
文系志望の東大受験生の多くが選択する科目である世界史。
しかしその一方で、第1問の超長文問題など特殊な出題がされるので、対策方法がよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、実際に現役で東大合格をすることができた私が、まずは自らの受験勉強を振り返りつつ、最後に
- 良かった点
- 反省点
を自分なりに整理していきます。
私の学習記録を他山の石として、皆さんの学習計画に役立ててもらえればとても嬉しいです!
- 日々学習に励む現役東大生。
- 受験生時代の世界史はセンター試験満点、2次試験は40点/60点。
- 学びについての情報を、とにかく学習者目線をモットーに発信しています!
点数推移は?本番で何点とれた?
まずは模試、本番での得点推移についてご紹介します。
本番での得点
最終的な試験の得点としては、
- センター試験 100点
- 2次試験 40点/60点
を取ることができました。
センター試験は運もあり満点でしたが、2次試験については合格者平均点くらいかなと思います。

平均的な東大受験生の合格体験記として見てもらえれば嬉しいです。
最終的な得点は以上のようになりますが、ここからは模試での点数推移をざっと紹介します。
センター試験(現在の共通テスト)模試
現在の共通テストの前身である、センター試験の得点は以下のように推移していました。


1年前の同日は50点だったのですが、早い段階で点数を伸ばすことができました。
これは世界史という科目だけで見ればいいことなのですが、この時期(高2の1月〜高3の6月)は全体の科目バランスという面ではかなり悪くなってしまっていて、それは反省点だったとも感じています。



この反省点についてはまた後半で詳しく説明します。
東大模試
東大模試は東進、河合、駿台の3つを受けていたのですが、それぞれの点数は以下のように推移していました。
東進 | 河合 | 駿台 | |
---|---|---|---|
同日 | 3点 | – | – |
6月 | 13点 | – | – |
夏 | 31点 | 28点 | 22点 |
秋 | 49点 | 40点 | 38点 |
直前 | 35点 | – | – |
秋模試で一気に合格レベルまで到達できたという感じです。
直前模試はセンター試験直後に受けたこともあり、かなりセンターボケしていた状態だったため点数が下がってしまいました。



危機感を持つことができたので、点数は良くなかったですが直前模試は受けてよかったと感じています。
世界史を選択した理由
次に、なぜ世界史を選んだのか?についてです。
世界史を選択したのは以下の2つの理由からでした。
理由① 歴史を学ぶことが好きだったから
小学生の頃から、歴史の学習はそこまで苦手に感じたことはありませんでした。
昔はこんなことが起こっていて、それが今にこう繋がっているのか、と知ることができる歴史は好きな科目でした。
そのため、世界史と日本史で受験しようと決めるのはそこまで時間はかからなかったです。
- 世界史と地理が効率よく点数が取れる組み合わせだからおすすめ
- 世界史と日本史は時間がかかりすぎて両立は難しい
ということが言われているような気もしますが、歴史が好きな人であれば十分に両立は可能だと思いますし、気にしすぎなくていいかなと思います。



短い時間で、ある程度の点数を取るなら世界史・地理がいいかもしれませんが、社会で得点を稼ぎたいのであれば歴歴選択で全く問題ないと個人的には思います。
理由② 得点源にしやすい科目だから
詳しくは世界史を選択するメリットについての記事で解説しているのですが、世界史は膨大な単語量を適切に覚えているかでかなりの受験生がふるいに落とされるため、発展的な問題は出づらい科目です。
そのため、一定レベルにまで達すると点数が下ブレしづらく、得点源にしやすい傾向があります。
このことを東大に合格した先輩から聞いたのが、世界史を選択するもう一つの理由となりました。





日本史と世界史の両立は大変ではありましたが、もう一度選び直せるとしてもこのふたつを選びます。
世界史の勉強を始めた時期
本格的に世界史の勉強を始めたのは、高2の1月半ばごろでした。センター試験の1年前くらいですね。
それまでも高校の授業で世界史を受けてはいましたが、テスト前に詰め込んですぐ忘れてしまうような勉強しかしていませんでした。
受験勉強を始めなきゃいけないけど、苦手な数学や英語はあまりやる気にならない、、ということでまず世界史から取り組み始めました。
かかった時間
かかった時間としては、約600〜700時間くらいです。
途中ほとんど世界史に時間を使えない時期もあり、かなりブレはありましたが、平均すると1日に2時間くらいやっていたと思うので合計するとこのくらいの時間になると思います。
使っていた主な教材
世界史はほぼ独学で学習していたので、用途ごとにいろいろな教材を使っていました。
まずは、使っていた教材をひととおりご紹介します。



どの時期に、どう使っていたかについては後ほど説明します。
通史理解用
・ナビゲーター世界史
・荒巻の新世界史の見取り図
単語暗記用
・時代と流れで覚える!世界史B用語
教科書・資料集・用語集
・山川出版社 詳説世界史B
・東京書籍 世界史B
・山川出版社 世界史用語集
・最新世界史図説 タペストリー
問題演習用
・判る!解ける!書ける!世界史論述
・センター過去問 赤本
・東大過去問 赤本と青本
買ったけど使わなかった教材
買った教科書や教材の中には、買ったものの結局ほとんど使うことのなかった教材もあったのでここでまとめておきます。
・山川出版社 一問一答世界史
・東進ブックス 世界史B一問一答
・帝国書院 新詳世界史B
一問一答2冊については、自分とあまり合わないと感じたので早々に使うのを中断しました。
帝国書院の教科書は、独特な視点で世界史を捉えているということでやりたい気持ちは山々だったのですが、時間の関係で使うことはできませんでした。
どの時期にどんなことをやっていた?
それでは、入試本番までの振り返りをここで行なっていこうと思います。
高2 1月〜3月中旬 【まずは通史から】
模試の点数
- 1月 センター模試 50点
- 2月 東大模試 3点
- 3月 センター模試 89点
主に使っていた教材
- ナビゲーター世界史 2周
- 世界史の見取り図 1周弱
この時期は、通史理解のためにナビゲーター世界史をまず読み始めました。
苦手科目はやりたくないけど勉強はしなきゃ、、という中で、ある意味世界史に逃げていた時期でもあったので、けっこうな時間を割いていたと思います。



1日に3時間はやっていたと思います。
2月中にナビゲーター世界史を2周読み終わり通史はある程度わかるようになっていたので、今思えば単語暗記のステップに移ってもよかったと思うのですが、このタイミングで返却された東大模試の点数に振り回されることとなります。



本番の1年前で手応えもなかったとはいえ、3点という点数はかなりショックでした。
「通史をもっと理解しなければ、、」と思い、しかし同じ参考書を3周する気にはなれなかったので、ここで世界史の見取り図を使うことになります。
見取り図を1周弱読み終わったタイミングで受けたセンター試験の模試は89点でしたが、当時の実力よりはかなり上振れた偶然の産物だったと思います。
高3 3月下旬〜5月上旬 【勉強時間ほぼゼロ】
学校行事にかかりきりで、ほとんど勉強時間は取れず、、
自分が通っていた高校は、体育祭にかなり力を入れている高校でした。
さらに高3はその中心となる学年だったため、この時期はほとんど勉強時間ゼロの生活でした。
高3 5月中旬〜夏休み終わり 【ひたすら時代と流れをやり続ける】
模試の点数
- センター模試 6月 83点
- センター模試 8月 91点
- 東進東大模試 6月 13点
- 東進東大模試 8月 31点
- 河合東大模試 8月 28点
- 駿台東大模試 8月 22点
主に使っていた教材
- 世界史の見取り図 1周弱
- 時代と流れで覚える世界史 7〜8周
体育祭が終わり、本格的に受験モードにスイッチし、勉強量がグッと増加したのがこの時期でした。
しかし、増えた時間は苦手科目の数学や英語に費やしていたため、世界史の勉強時間はそこまで変わりませんでした。
むしろ少し減ったくらいかもしれません。
まずは世界史の見取り図を一周し終えて、次に着手したのが一問一答の参考書でした。
しかし程なくして、自分は使いづらさや覚えづらさを感じたため使うのを中断し、6月上旬に「時代と流れで覚える世界史」に着手します。



単語をぶつ切りで覚えていくスタイルの一問一答は、縦や横のつながりが見えづらいため個人的には好きではありませんでした。
論述問題をやりたい気持ちはありましたが、「論述問題も単語を覚えていないと土俵に立てない」と肝に銘じ、夏休み終わりまではとにかくこの参考書を回していました。
「時代と流れで覚える世界史」だけでは理解しづらい部分や、より気になった部分については、通史理解用の参考書やタペストリーを覗き、学んだことをこの参考書に書き込んでいっていました。



書き込んでカスタマイズしていくことで、のちのちこの参考書を自分だけの百科事典として使えるようになるのでおすすめです。


勉強の甲斐あって、8月のセンター模試では9割を突破することができたものの、東大模試では第1問が思うように書けず点数は伸び悩んでいました。
高3 9月〜11月上旬 【論述対策開始】
模試の点数
- センター模試 10月 95点
- 東進東大模試 10月 49点
- 河合東大模試 11月 40点
- 駿台東大模試 11月 38点
使っていた教材
- 山川出版 詳説世界史 3周
- 判る!解ける!書ける!世界史論述 2周
- 東大特進の世界史
夏の模試を経て、収穫と課題がはっきりとわかったので、秋は論述対策にシフトしました。
論述で使える表現のインプットのため山川の詳説世界史を読み始め、並行してアウトプットのために判る!解ける!書ける!世界史論述を始めました。



この時期の世界史の勉強時間は1日あたり2〜2.5時間くらいだったと思います。
また、周囲で評判の良かった東大特進の世界史にもこの時期から通い始めます。
荒巻先生の解説は非常に説得力があって、「こういうふうに考えて解答作成すればいいんだ」という模範を学べたためとても有意義でした。



東大特進はオンラインでどこでも学べる講座が多く、模試でD判定以上を取るとかなり安く受講できるためおすすめです。
11月中旬〜12月中旬 【世界史おやすみ期間】
他の科目の進捗がかなりまずかったので、世界史は一旦中断することに、、
苦手だった数学や英語リスニング、ライティングがなかなかこの時期になっても改善しなかったため、この時期はほとんど世界史に時間を割くことができませんでした。



数学、英語、日本史でいっぱいいっぱいの時期でした。
1ヶ月強のあいだ世界史に触れられなかったのは、かなり痛手でした。
12月下旬〜センター本番 【センター前の知識総復習】
模試の点数
- センター模試 12月 89点
使っていた教材
- 時代と流れで覚える世界史 3周
- 山川出版 詳説世界史 1周
- 東京書籍 世界史B 2周
- センター過去問 赤本 3年
しばらく世界史には触れることができていませんでしたが、センター試験まで4週間を切ったころから世界史の勉強を少しずつ再開していきました。
この時期は論述の演習は全くせず、時代と流れで覚える世界史や教科書を読んで知識の最終確認をしていました。



センターが終わったあとに論述の対策を集中的にやりたかったので、単語の暗記はここで最後にする意気込みで取り組んでいました。
また、このタイミングで友人から東京書籍の教科書の良さを説かれ、なびかれた私は途中から東京書籍に乗り換えることになります。



結局、受験終了までで2周半くらいしかできず、あまり吸収できないまま終わってしまいました。
センターの過去問は1月に入ってから取り掛かったのですが、そこまで特殊な問題形式でもなかったので3年ほど解いてまたインプットに注力することにしました。
センター終了〜東大本番 【過去問演習大詰め】
模試の点数
- 東進直前模試 1月 35点
使っていた教材
- 東大過去問 赤本、青本 10〜15年分
- 東大特進 世界史
センターのまさかの満点で喜ぶのも束の間、東進の直前模試では目標点に届かず、センターボケを痛感しました。
論述の感覚を取り戻すべく、1月の下旬から過去問に取り組み始めることになります。
東大特進で3〜5年ほど解いてはいましたが、それ以外で過去問を解くのはここが初めてでした。



本当は11月、12月から始めたかったのですが、、大反省です。
3日で2年のペースを目標に過去問を進め、過去15年分が終わったら見直しをしていきました。
赤本、青本の解答だけだと納得できない部分もあったので、世界史リンク工房や世界史教室の解説も見て腑に落ちる回答を作りながら進めていました。


またこのほかにも、東大特進の直前講習にも参加していました。
荒巻先生の予想問題を解くというもので、本番を意識した良い演習の場になりました。
そんなこんなで1ヶ月はあっという間に過ぎ、本番を迎えました。



以上が私の世界史学習の振り返りになります。
よかった点
ここまで振り返りをしてきましたが、個人的によかったと思っている点・反省点についてここからそれぞれ挙げていきます。
良かった点① 流れの理解から学習を始めた
これは本当に賢明な判断だったと思います。
いきなり一問一答などで単語暗記をやり始めても確かにある程度の点数までなら取れるんですが、覚えづらいですし、たとえ覚えられても断片的な知識しか身につきません。



結局知識を関連づけるための時間が必要になり、大きなタイムロスになります。
まず流れを理解して骨組みを作り、その後に単語を暗記して肉付けしていく
という順番で学習を進められたのは、時間の面でも知識の定着の面でも良かった点でした。
良かった点② 1冊1冊を使い込んだ
通史理解 → ナビゲーター世界史
単語暗記 → 時代と流れで覚える世界史
教科書 → 山川 詳説世界史
論述対策 → 判る!解ける!書ける!世界史論述
というように、各用途で基本的に1冊の参考書をやりこんでいったのも振り返ると良かった点でした。
世界史の参考書は、1冊1冊の情報量が膨大であるがゆえに、いろいろな参考書に手を出すだけでは上澄みの部分しか吸収できません。
1冊を何周もやり込むことで得られるものはかなり大きかったと思います。
特に単語暗記の部分でこれは強く感じました。



教科書については、2冊やり込めるとかなりアドバンテージになるのは間違いないですが、かなり他の科目に余裕があり、かつ45点以上を狙う人向けだと思います。
反省点
前半(〜高3の6月)で時間をかけすぎた
高2の1月〜高3の6月ごろまでにかけて、全体の勉強量に占める世界史の割合がかなり高くなってしまっていました。



勉強時間の3〜5割くらい世界史をやっていたと思います。
世界史が楽しかったから、というのもあるのですが、苦手科目であった数学や英語をやらない言い訳にしていた面もありました。
結局高3の11月〜12月にかけて、世界史を中断してまで他の科目をやらなければいけない羽目になったため、ここはかなりの反省点でした。



世界史に触れられない時間ができたことで忘れてしまった部分もけっこうあり、二度手間になってしまいました。
私の場合、時期によって世界史の勉強時間にかなり差ができてしまったのですが、これは全くもって良くないので反面教師としてほしい部分です。
周りの勉強法に左右されて途中で脱線した
1冊1冊を使い込んだ!と偉そうに言っていて恐縮ですが、ちょくちょくいろいろな参考書に手を出し脱線してしまっていたのも事実です。。
一問一答に手を出してみたり、東京書籍の教科書に手を出してみたり、、



たしかに良い教材かもしれませんが、いろいろ手を出して全てが中途半端で終わってしまっては元も子もありません。
私は2冊目の教科書である、東京書籍の教科書に12月下旬から取り組み始めました。
読む中で新しい気づきもありましたが、結局吸収しきることができず、本番の論述では1冊目に使っていた山川の詳説世界史の知識をもとに書いていました。
やりたいことと、やるべきことは別
と肝に銘じて、自分のやり方を貫くことが大切だと思います。
まとめ
かなり長くなってしまいましたが、最後までご覧いただきありがとうございました。
東大は科目数も多く、がむしゃらに努力するのではなかなか合格レベルまで達するのは難しいです。
そのため、はじめの段階である程度中長期的な計画を持っていることが大切になります。
この記事が、皆さんの学習計画策定に役立てば嬉しい限りです。
東大受験についてまた他の記事も書いていく予定ですので、よければあわせてご覧ください。